現代の貧困

現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書)

アマゾン購入感想

格差の中の格差資本主義経済の必然の結果といえる貧困問題に現代社会の潮流が流れ込み、新たなる貧困を生み出している現状が本書では述べられています。
この現代の貧困が“格差の中にさらに格差を生む”悪循環を表しています。
貧しさが単に経済的困窮である時代は終焉を迎え、より精神的貧困・環境的貧困・社会的貧困が複雑に絡み合っていくのではないでしょうか?
できればこの現代の貧困に対する福祉的アプローチの必要性をより深く述べてほしかったです。

保険主義が貧困を固定化する 日本の福祉は保険主義である。老齢、介護、医療、雇用すべてが「保険方式」を採る。このことが、日本の福祉を「低所得者に厳しく、高所得者に優しい」ものとしている。
 著者は、「貧困という名のバス」という表現を用いて、貧困の固定化を指摘する。一時的な貧困は「人生のスパイス」なのだが、生涯を通じて貧困バスの固定客にされている人々がいる。彼らに「保険」の恩恵は届かない。
 保険主義から再配分主義へと福祉の舵を切ることが、貧困を減少させるカギではないかと感じた。

『ルポ 最底辺』 、『貧困襲来』と問題意識が同じなので1.この本の特長
『ルポ 最底辺』(生田武志 ちくま新書)や、『貧困襲来』(湯浅誠 山吹書店)と問題意識は同じである。上記2冊は、いわば実務家の本だが、学者の本であるこの本も問題意識が同じということは、これら3冊で現代の貧困についての知識、考え方がわかるといえよう。
2.長所・短所
(1)普通に生活していると気づかない事が満載(たとえば、生活保護のレヴェルを落とすことが貧困を隠避すること、など)。
(2)提言も説得力がある(もっとも、優先されていない人も、それなりに困っているだろうから、短所にもなりうる)。
(3)ちゃんとした調査のない中で、それなりの方法論を用いて、貧困の全貌を明らかにしようとしたところ(もっとも、不完全(たとえば、パネル調査は女性だけ)なところを重視すると、短所になりうる)。
結論―短所と取れるところもあるが、現代の貧困を知るうえで有益だと思うので、星5つ。

届かぬ福祉は、誰のため?社会福祉の専門家による、日本社会における貧困問題の解説書。

ひとくちに「貧困」といっても線引きが難しいことが、本書の前半を通してよく分かる。
「貧困」を一時的な状態、すなわち「経験」として把握すると、貧困を「乗り合いバス」のように例えられる、とのこと。
乗り降りする人もいる一方、ずーっとこのバスに乗りっぱなしの人もいる。その原因、条件とは何か。
そして、後半は、ホームレスや、貧困に陥る可能性の高い人、多重債務の問題へと展開される。

著者によると、日本の福祉というのは、「高学歴かつ正規雇用者で資産も家族もある人」に「やさしい」が、
その型からはずれた人には「やさしくない」。
「不利な人」は不利な状態に縛られたまま、抜けることができないしくみにおかれているのだ。

だが、「定型から外れる=不利を被る」社会では、逆に個人の、そして国益の可能性を奪わないか。
貧困は、当事者だけの問題なのか。社会の土台の安定という観点から、全ての人に関わる問題だ、と著者もいう。
どのような立場のひとであれ、望まない貧困に陥らないようなしくみって、ありえないのか。グローバル化に耐える
企業生産の効率化のためには、使い捨て続ける貧困層が不可欠なのか。

本書が出版されてから1年経つが、あちらこちらで紹介、引用され続けている。
これは、グロテスクな現実から視線をそらしがちな、ぬるく幸せな「非・貧困層」の人々に、
鋭い警鐘を鳴らす役割を果たし続けているということだろう。

貧困の再発見へ向けて 年末の新聞の「今年の本」というコーナーで見つけて読んでみた。

 著者が指摘しているように「格差」に関しての議論は大いに出ている。一方 「日本には貧困問題がある」という議論は あるにしても 「格差」に比して遥かに少ない。「少ない=問題が無いというわけではない」というのが 著者の出発点である。

 僕らにとって日本とは かつては貧しい時代もあったが 高度経済成長を遂げて バブルが弾けることも出来るような 豊かな国になったという感触は確かにある。僕らが「貧困」でイメージする「画像」とは アフリカの飢餓であるとか 幾つかの国でのスラム街になってしまっているかもしれない。
 そんな僕らのお膝元で 実は相当深刻な貧困があるという著者の指摘にはちょっと驚いたが確かに読んでいると それは僕らが貧困を「再発見」しないだけではないかと思えてくる。

 著者が言う通り 日本では「貧困とは その人の自助努力が不足しているから起こる」という考え方が強い。今僕自身 書きながらも まだそう感じる面はある。
 確かにそういう部分は否定できない一方 それで片付けてよい問題ではなさそうだというのが 本書を読んで考え始めた事でもある。

 とにかく 今の段階で一番大事なのは「日本の貧困の再発見」をより徹底して検証する点にあると思う。
 著者が言う通り 「格差」に関しては「あっても良いではないか」という新自由主義的言説もありえる。一方「貧困」に関しては「あるべきではない」という政治の問題でもあるからだ。

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